2019年07月21日

『さざなみのよる』

図書館で予約してから一年一ヶ月で借りることができました。
大好きな『昨夜のカレー、明日のパン』の木皿泉の小説です。

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読み始めて気が付いたのですが、この『さざなみのよる』はドラマ『富士ファミリー』の前日譚ともいうべき物語でした。
『富士ファミリー』はスペシャルドラマとして二作作られました。
もちろん見ましたが、正直、どうもちょっと苦手な感じでした。
舞台的っていうか、なんというか、片桐はいりがおばあちゃんて違和感ありありで。

もうちょっと説明しちゃいますと、ドラマ『富士ファミリー』というのは、富士山がよく見えるところにあるコンビニ風よろず屋「富士ファミリー」を舞台にして繰り広げられる人情劇です。
誰が主役というのはなく群像劇です。

主な登場人物は小国三姉妹(鷹子、ナスミ、月美)と大叔母笑子
ナスミの夫日出男
なんとナスミはすでに亡くなっており、笑子にだけ見える幽霊です。
キャスティングは、鷹子(独身、デパート勤務)が薬師丸ひろ子、ナスミが小泉今日子、夫の日出男が吉岡秀隆、月美(結婚して別に暮らしている)はミムラ、笑子が片桐はいりです。

日出男はナスミ亡き後も富士ファミリーで働き、鷹子、笑子と同居しています。

んで、小説『さざなみのよる』です。
これは、ナスミが亡くなるまでとその後の世界のお話が主です。
ナスミってどんな人だったのか、ナスミがいなくなってどうしたのか?
脚本家だけあっていい言葉がザックザクです。

最初は、ナスミ=キョンキョンのイメージが強すぎて内容が頭に入ってきませんでした。
でも読み進めているうちにわたしなりのナスミが形成されました。

最後まで読み終えて、すぐに二回目読みました。
全部読んだからこその「そうだったのか〜」な気持ちで読んだ二回目は一回目より感動しました。
いいやつだなぁ〜ナスミ!

『昨夜のカレー、明日のパン』を思い出すところもたくさんありました。
飛行機のチカチカ
歯の入ったフイルムケース
日出男の立ち位置(亡き配偶者の家族と同居)

『昨夜のカレー、明日のパン』も『さざなみのよる』も大切な家族の死がテーマです。
『さざなみのよる』では、人の命を図書館の本に例えています。誰かが借り、返すような、そんな感じなんじゃないだろうか。と。
本は誰のものでもないはずなのに、読むと、その人だけのものになってしまう。いのちがやどる、とはそんなかんじなのかなぁと。
借り物というのはよく聞くけれど、なるほどなと思いました。

ナスミの東京時代の同僚好江の章はグッときました。
みんな幸せになってほしい。
お話なのにそんなことを願ってしまう小説です。
お疲れな人に特にオススメ。
posted by 元女将 at 21:03| | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする